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WHAT WE DO

環境資源植物のゲノミクス、環境に資する植物の機能解明と開発

植物バイオを利用して環境資源植物を科学する

1)豊かな植物遺伝資源のためのゲノミクス、2)変化する環境のもとでの植物エピジェネティクス、3)人間生活に役立つバイオマス資源植物の開発、の3方面から研究をおこなっています。


1)植物のゲノム・染色体・遺伝子の遺伝情報をどのように利用するかの観点で研究しています。生体分子の高感度可視化技術である蛍光分子雑種法(FISH法)、免疫染色法、電子顕微鏡、画像解析法、細胞イメージングを開発し利用することで、ゲノムの中に存在する遺伝子を含むDNA配列や反復配列、機能するタンパク質について情報を解析することが可能になりました。具体的な近年の研究業績としては、人の生活を豊かにする多様な遺伝資源をもつイネ科、マメ科、アブラナ科植物、園芸植物などを対象に、環境資源植物科学の研究を行っています。
2) 植物は変化する環境のもとで後天的にゲノム構成を変化させながら柔軟に適応していき、新しい生態系を創出します。本来の植物が持っている遺伝子が、後天的に変化する現象をエピジェネティクスといいます。エピジェネティクスは、植物がどのように環境に適応し、共生していくかを理解する分野として重要です。人間がもたらした生活環境や自然環境の変化に対して植物がどのように適応し、植物がどのような変化し、また共生するかに注目して研究しています。具体的には、取り巻く生育環境、ストレスの変動が、遺伝子、ゲノム、細胞、個体にどのように影響しているかについて研究しています。
3)環境問題を積極的に改善するために、化石燃料の代替として産業、燃料用油を生産することのできるバイオマス資源植物や化粧品等の他用途に利用できる植物の研究を行っています。具体的には、ホホバなどの新規の植物バイオマスの環境適応能力を最大限に生かすため、ゲノム、染色体情報の解析、組織培養、遺伝子組換えによる植物の育成を行っています。これらは、エネルギー資源のない日本で将来的に豊かな人間生活に役立つ新しい環境適応型の植物基礎研究と位置づけでいます。
これらの研究は、多くの国内外の研究機関との共同研究としても取り組んでいます。

近年の学生の研究課題
    クロマチンファイバーを用いたエピゲノム因子の可視化
    日本ならびに中国種アジサイの反復配列に関する研究
    都市及び山間部におけるツユクサの生態と倍数性様式
    ホホバのESTマーカー多型と組織培養に関する研究
    アジサイの全ゲノム配列解析と可視化による遺伝子検出
    ナノ可視化による植物染色体構造に関する研究
    植物の3次元高感度イメージングに関する研究
    植物における画像解析法の開発に関する研究
    鉄イオンストレス下におけるイネのエピジェノミクスに関する研究
    GISH法によるアブラナ科種間雑種の染色体解析
    組織培養を用いたホホバの効率的なシュート形成    
  

 

WHAT WE think

植物の生命機能を探る

植物の生命機能を探る

 自然界に存在する生物の特性は何によって定められているのだろう?生物の研究者は、この難問に答えるべく研究を行っている。生物の形態的特性も生理的特性も全て、細胞の中にある遺伝物質にプログラミングされている。そうであれば、生物のDNA配列がわかれば生物の全てが、わかるのではないか?この考えに基づき、ゲノム解析研究が進み、シロイヌナズナやイネをはじめとする植物のDNAの配列が決定された。そして、シロイヌナズナでは2000年に、またイネの染色体のDNA配列は、2002年11月にNature誌に発表された。しかし、この進展の中で明確になったのは、植物の生命機能を決めるのは、DNA配列が統べてではないということである。

 植物研究の潮流は今や、遺伝子の機能解析とその物質としてのタンパク質の機能ならびに構造解析などのポストゲノム研究に移行している。そのなかで、私が注目しているのは、植物を構成する生体分子の挙動についてである。そしてその中でも染色体に関する解析をテーマに研究を行っている。

 これまで植物細胞のDNA、RNA、タンパク質の可視化技術の開発を行ってきた。細胞は、生きて分裂を繰り返し、生育環境の影響をうけて、ダイナミックに機能している。染色体で働く遺伝子やタンパク質の動きを動的に解析することが、植物細胞の機能を理解するために不可欠と考えている。

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